鹿児島県を代表する伝統的工芸品・大島紬。
その伝統紋様である「秋名(あきな)バラ柄」と「龍郷(たつごう)柄」をモチーフとして2022シーズンの鹿児島ユナイテッドFCのユニフォームに取り入れました。
こちらのフィールドプレイヤー用モデルには「秋名(あきな)バラ柄」をモチーフとしていますが、この「秋名(あきな)バラ柄」がある騒動に巻き込まれました。
それは、鹿児島ユナイテッドFCが2022シーズンのユニフォームデザインを発表して間もなくのこと、このデザインがナチスドイツ時代のシンボルマークである「ハーケンクロイツ」に似ていると、ペルーのサッカーメディア「depor.com」が報道したことに端を発しました。
これがSNSなどで拡散し、大きな騒動となっていったのです。
海外メディアが指摘した似ているというのはこちらの部分ですね。日本人からすると『そういわれると似てるかな』程度の感覚の方も多いかもしれませんが、現在のドイツでは公共の場でかぎ十字を使用することが禁じられ、多くの国で問題視されています。
かつては、イタリアのフィオレンティーナのユニフォームに「ハーケンクロイツ」に似た模様がデザインされていたことから猛烈な批判を浴び、実際にシーズン途中でのデザイン変更に至りました。
※そのフィオレンティーナのユニフォームについて説明している記事はコチラから↓
ただし、現在は鹿児島ユナイテッドのホームページでは、デザインの由来などが日本語と英語で丁寧に説明されており騒動も沈静化しています。
以下ホームページより抜粋
「秋名」は奄美大島の地区の名前です。「バラ」は竹で編まれたザルを意味しており、そのザルは人々にとって欠かせないものでした。この柄の特徴は連続的な直線と十文字です。秋名バラ柄は長い間人々に愛されてきた柄です。
Akina-Bara pattern/
“Akina” is the name of a district in Amami Oshima, “Bara” means a colander woven from bamboo, which is indispensable to people’s lives. This pattern features continuous straight lines and crosses. Akina-Bara is a pattern that has been familiar to people for a long time.
鹿児島ユナイテッドは、柄の一部が「かぎ十字」に似ていると捉えられかねないことを、製作段階で想定していたようですが、『地元の方たちにとって大事な柄。最大限リスクを排除しながら表現した』とデザインを決めたと言います。
是非とも地元の素晴らしい伝統デザインを世界に向けてアピールしてほしいですね。
また、このユニフォームはボディの「秋名バラ」デザインだけでなく、衿は大島紬の着物をイメージした「右前」となっているなどこだわりの詰まったユニフォームです。
そして、ユニークなことに鹿児島ユナイテッドFCは、2021シーズンに続き2022シーズンも特定のブランド等とのサプライヤー契約は行っておりません。
ユニフォームのデザインはクラブの広報・販促物の制作や、オリジナルのグッズデザインを担当する「KUFC design plus.」が行っています。
ユニフォームの右胸にある「ANGUA(アングア)」とは、ユニフォームサプライヤーのロゴではなく、「A never give up attitude」の頭文字で構成されており、「決して諦めない、不屈の精神」というアスリートの勝利に対する気持ちと、ファンのチームや選手を信じる気持ちをイメージしたシンボルマークとなっています。