ユナイテッドで最も愛された選手。
「キング・エリック」ことエリック・カントナ。
華麗なプレーでフィールドを支配し、現在のスター選手には無い孤高のカリスマ性でファンを虜にしました。
数々の素晴らしいハイライトを残してくれましたが、やはりカントナと言えばあのシーンを外すわけにはいきません。
「カンフーキック」です。
選手へではなく、まさかの観客に
その瞬間は1995年1月25日のプレミアリーグ、クリスタル・パレス戦でした。
アウェーのセルハースト・パークで、相手DFのリチャード・ショウ選手にシャツを引っ張られ激昂。
足蹴りをかましてしまい、報復行為として一発レッド。
退場処分を受けたカントナはベンチ裏に戻る途中、クリスタル・パレスのサポーターであるマシュー・シモンズさんに野次をとばされました。
その瞬間、カントナの体が宙に浮きマシュー・シモンズさんに向けカンフーキックをお見舞い。
8ヶ月の出場停止処分と、罰金を支払いました・・・
その時のユニフォームがこちら1994/95シーズンのアウェイモデルで、マンチェスター・ユナイテッド史上初のブラックのユニフォーム!実際にカントナがカンフーキック時に着ていたのは長袖でした。
サプライヤーはUmbro(アンブロ)社。
垂直に並んでいるアンブロ社のロゴが透かしで入っています。
ちなみにアンブロ社の菱形のロゴは『ダブルダイヤモンド』と言うそうです。
アンブロ社は1945年~1975年と、近年では1992年~2002年の間、マンチェスター・ユナイテッドのサプライヤーを務めていました。
両袖には前年の1993/94シーズン優勝の証であるチャンピオンパッチが。
胸スポンサーは「SHARP VIEWCAM」。かつての日本の大家電メーカー「SHARP」社の商品名です。
これです液晶モニターを見ながら撮影ができる独創的なビデオカメラで、モニターを回転させれば自分も撮れるなど、当時はかつてない斬新な特徴で大ヒット商品となりました。
今のスマホ世代の若者にこれを見た感想を聞いてみたいです・・・
ちなみにこの1994/95シーズンのホームモデルがこちら胸のサプライヤー名は「SHARP」のみになっています。
被害者の意外なその後
事件後の記者会見では、「カモメがトロール船を追うのは、イワシが海に投げ込まれると考えているからだ。どうもありがとう。」と発言。
スキャンダラスな話題に群がるメディアをイワシに群がるカモメに例えましたが、記者たちは唖然とした反応。
カントナはそのまま会場を後にしました。
現役引退後も現役中に最高だった瞬間を問われると、「沢山あるけど、一つ選ぶならフーリガンに蹴りを入れたとき」とコメント。
ちなみに2011年4月9日、被害者であったマシュー・シモンズさんですが、息子がチームから外されたことに腹を立て、そのチームの監督を殴り倒し16年越しに加害者になってしまいました。
いつまでも「エリック・カントナ」であり続けた、ユナイテッドファンに限らず、忘れられない孤高の存在の人でした。