サッカーユニフォーム大好きヴィンス君が市場に出回ることの少ない“選手用ユニフォーム”を解説するこのコーナー。
第9回目はこちら↓2004/05シーズンのレアル・マドリード ホーム 長袖の貴重な一枚をご紹介します。
詳細の前に、当時のクラブ経営と選手を取り巻く環境を簡単にご説明させていただきます。
時は2000年、スペイン・マドリード出身の実業家がレアル・マドリードの会長職に就任したことが全ての始まりでした。
その名は、フロレンティーノ・ペレス会長。
会長選での公約は、最大のライバルクラブであるバルセロナからルイス・フィーゴを獲得するというものでした。
この公約は大きな反響を呼び見事当選。そして公約通り、夏の移籍市場でバルセロナからレアル・マドリードへ禁断の移籍を成立させたのです。
獲得といえば聞こえはいいのですが、バルセロナ側からしたらこの移籍は強奪に近かったのかもしれません。
それから、2001年にはイタリア・セリエAのユヴェントスからジネディーヌ・ジダンを。
2002年に同じくセリエAのインテルミラノからロナウドを。
そして2003年には、マンチェスター・ユナイテッドからデビット・ベッカムを獲得しました。
ベッカムの代名詞であった7番は、クラブの象徴とされるラウル・ゴンサレスが付けていたので23番を選択。
これは、バスケットボール界のスーパースター、マイケル・ジョーダンに憧れて選んだというのは有名な話です。
今回ご紹介するのは、そのベッカムのレアル・マドリード加入2年目、2004/05シーズンの23番の選手用ユニフォームです。
それでは、詳細を見ていきます。
まずは背番号です。クラブロゴのクレストが入ったオフィシャルマーキングですが、
よ~く見ると2と3で縁取る黄色いラインの色味が少し異なります。
もし、一般顧客がユニフォームを購入しこちらが届いたなら、なぜ色味が異なるのか?同じ色に張り替えてくれないか?などクレームに発展しかねない要素です。
しかし、選手用の世界では、この顧客向けでない感じがまた“らしさ”といえばそんな気がしてきます。
また、ネームの圧着位置も選手用らしさが出ています。
プリントのひび割れを防ぐ為に、生地の切り替えし部にラバープリントを重ねないのが理想なのですが。。。
はい、バッチリ凹凸のある切り替えし部に重ねています。
こうすると、洗濯を繰り返すことでひび割れてしまい、せっかく買った憧れの選手のユニフォームが劣化するという悲しい末路が待っています。
オフィシャルショップや町の販売店で買うと、この位置に付けてくれるはずです。
そして、このユニフォームが選手用であるという最大の証は、二重レイヤー(インナー付き)の長袖は一般販売がないという点です。
半袖の二重レイヤー(インナー付き)はこのようなハンドバック的なものに入れられて販売がありました。
また、一般販売用のユニフォームにはリーグワッペンが縫い付けられていますが、こちらは選手用サイズのラバープリントが圧着されています。
▼一般販売用▼
▼選手用▼
毎年ビッグネームを補強したペレス会長率いるレアル・マドリードは、世界市場の開拓とPRを兼ねて2003年からワールドツアーを開始。シーズン開幕前のプレシーズンマッチを、日本や韓国、中国、アメリカなどヨーロッパから遠く離れた地で行いました。
日本でも、FC東京やヴェルディ川崎、ジュビロ磐田と対戦し、試合の模様がテレビ中継され、グッズも飛ぶように売れるなど興行面で大成功を収めました。
一方で、地球を一周するような大移動と、慣れない環境での調整を強いられる選手は少々複雑な心境があったのかもしれません。
ドリームチーム、または銀河系軍団と称され、20世紀最高のクラブという名誉ある賞を受賞したレアル・マドリード。選手はフットボーラーとして結果を求められつつも、クラブの広告塔としてビジネスでも結果を求められる時代に突入したユニフォームといえそうですね。
夢のある補強にはこういったピッチ外での活躍も欠かせない時代なんだと改めて感じさせられました。