トリビア

チリの英雄サモラーノ氏のこだわりが生んだ伝説の「1+8番」

サモラーノの1998-99インテルホームユニフォーム

奇抜なデザインや限定販売などの希少性で話題になるサッカーユニフォームはいくつもありますが、自らの背番号で話題に、いや伝説になった選手はこの方だけでしょう!
そのユニフォームがこちらサモラーノの1998-99インテルホームユニフォームチリの英雄イバン・サモラーノ氏の1998/99シーズンのインテル・ホームモデルです。
前面はこんな感じです。サモラーノの1998-99インテルホームユニフォーム前面

もはや伝説になっている「1+8番」です!
ちなみにこのユニフォームを背負っていたイバン・サモラーノ氏は、1990年代に活躍した点取り屋でレアル・マドリードから1996年にインテルに移籍した当代きってのストライカーでした。
そう、「点取り屋」で「ストライカー」ということは、代名詞である背番号「9」に特別なこだわりがあったのです!

時は1997/98シーズン。
サモラーノ氏のインテル加入2年目のシーズンでした。
サモラーノ氏は当然「9」番を背負い、もう一人のエース、ブラジルの元祖ロナウドが「10」番を背負いプレーしていました。

そして事件は翌1998/99シーズンに起こります。
なんとインテルにあのファンタジスタ、ロベルト・バッジョの加入が決まったのです!

このバッジョ加入を機に、世紀の背番号玉突き移籍が繰り広げられました。
まず当時イタリアのスターとして地位を確立していたロベルト・バッジョには、「10」番を譲らないわけにはいかないと、ロナウドは「10」番を譲りました。バッジョの1998-99インテルホームユニフォーム

そしてロナウドは当時絶頂期。というかサッカー界の顔になっておりバロンドールを獲る活躍でしたので、インテルとしても当然ロナウドにはエースナンバーの「9」をという話しになります。
ここで現「9」番のサモラーノ氏の登場です。
サモラーノはクラブから背番号の明渡しを命じられるのですが一旦は拒否したそうです。
しかしサモラーノ氏はロナウドのことを「世界最高のフォワード」と認めていたので、結局背番号を譲り、自身は「18」番を背負うことになったのです。ロナウドの1997-99インテルホームユニフォーム

整理しますと、
バッジョ「10」
ロナウド「9」
サモラーノ「18」

めでたし、めでたし。。。
とはなりませんでした。

これまで実績も残し、ストライカーの代名詞である「9」番に特別な思い入れのあったサモラーノ氏。
「足して9になる番号を選べばいいじゃん」というチーム幹部からの助言で「18」にしましたが、どうしても「9」への思いを断ち切れません。

そこでサモラーノ氏は妙案を思いつきます。
『プラスマークを足してもいいですか?』

当然チームは却下しましたが、引き下がらないサモラーノ氏。
当時のインテルの会長だったマッシモ・モラッティ氏に頼み込んだそうです。
そしてモラッティ氏がイタリアサッカー連盟に掛け合い許可をとりました。

ヴィンス君
ヴィンス君
「+(プラスマーク)」を入れる発想もすごいですが、モラッティ会長の交渉力というか影響力もかなり凄いです!

こうしてサモラーノ氏の伝説の「1+8番」が誕生したのです。
これはもう誰もが認める「9」番です!