2013年12月12日、スペインのFCバルセロナは、世界的な半導体メーカー『インテル社』とスポンサー契約を結ぶと発表しました。
『インテル、入ってる?』のキャッチコピーでお馴染みのアメリカの半導体素子メーカーであるインテル社は、この契約で3,400万ドル(約34億円)もの費用を支払うと報道されていましたが、世界中を驚かせたのはその契約内容でした。
通常、企業がサッカークラブとスポンサー契約を結ぶとその企業名や製品名、ブランドロゴなどがユニフォームの胸部分にプリントされますが、写真を見てもインテル社のロゴは見当たりません。実は、今回の契約でインテル社のロゴが掲載された場所は『ユニフォームの裏地』でした。普段、試合中には見えない『ユニフォームの裏地』にプリントされたスポンサーロゴですが、サッカー選手が得点を決めた際に頻繁に行われる、ユニフォームを捲り上げて頭から被るパフォーマンスを行った際にこのロゴが現れます。
そのため、ユニフォームを捲り上げた際にロゴが正しく見えるよう『inter inside』のロゴは逆さまにプリントされていました。ではなぜインテル社は3,400万ドルもの費用を費やして、ユニフォームの内側に広告を出したのでしょうか。
それは、インテル社が90年代から掲げているブランディングキャンペーンの『inter inside』(インテル、入ってる?)というキャッチコピーを、ユニフォームの内側(Inside)と結びつけ、サッカーの試合の中でも注目されることの多いゴール後のセレブレーションで、観客やテレビ視聴者に強烈に印象付けるという狙いがあったからです。
インテル社によれば、ユニフォームの内側に広告を掲載するのは【世界初】の試みだったそうです。
さらに驚くべきは、この契約では選手が得点を取った際にユニフォームを被るセレブレーションを何回以上行うといった取り決めは一切なく、ユニフォームを捲るかどうかは選手の自主性に委ねられていました。
こうして、世界中が驚いた前代未聞の『見えないスポンサー広告』が誕生したのです。
また、『inter inside』のロゴは、選手用のユニフォームだけでなく、一般市販されたレプリカユニフォームにも掲載されました。
それがこちら。こちらのレプリカユニフォームですが、『inter inside』ロゴがプリントされているのはユニフォームの裾ではなく、チームエンブレムの裏側です。エンブレムの裏に『inter inside』のロゴが入ったこのユニフォームですが、シーズン開幕当初に発売されたユニフォームにはロゴが付いておらず、シーズン後半に少量発売されたユニフォームのみについていました。
さらに、このシーズンのバルセロナはUEFAチャンピオンズリーグ、ラ・リーガ、コパ・デル・レイを制し、クラブ史上2度目の3冠を成し遂げたシーズンであるため、このモデルはあっという間に市場から姿を消しました。
そのため、『inter inside』ロゴ入りのユニフォームを見つけるのは容易なことではありません。
また、自分の持っているユニフォームに『inter inside』ロゴが付いているかどうか確かめたこともないという方も多いかもしれません。
2014-15シーズンのバルセロナのユニフォームをお持ちの方は、ぜひエンブレムの裏側を確認してみてください。
の声が聞こえてくるはずです!