サッカーユニフォーム大好きヴィンス君が市場に出回ることの少ない“選手用ユニフォーム”を解説するこのコーナー。
第1回目はこちら↓
1999/2000シーズンのパルマ選手用です。
写真のファビオ・カンナヴァーロは1995年から2002年までの7年間パルマでプレー。
カンナヴァーロといえば2006年にイタリア代表を率いてワールドカップトロフィーを高々と掲げる坊主頭の印象が強いですよね。
身長175cmとセンターバックとしては小柄ながら、抜群の身体能力と状況判断能力、特に1対1の対人では簡単に抜かれない高い守備力が持ち味のディフェンダーでした。
バロンドール受賞時には、「サッカーにはディフェンダーもいることを証明した。」と語り、バレージやマルディーニでも到達できなかった夢の実現を喜びました。
そんなカンナヴァーロ、パルマ時代は長髪をなびかせてプレーする姿が印象的でした。
それが、インテルに移籍し短髪になり、その後ユベントスへ移籍し坊主頭に。
どういった心境の変化があったのかはわかりませんが以降は坊主と短髪を繰り返す感じで落ち着きました。
ユベントス時代にイブラヒモビッチがいきなり坊主頭になり周囲をビックリさせましたが、これはカンナヴァーロの坊主を真似たものらしいです。
ピッチ上でもプライベートでもカンナヴァーロの影響力はハンパないってことですね。
こちらの選手用ユニフォームは、パルマで守備力に磨きをかけ、コンスタントに代表にも呼ばれるようになった時代。
つまり、2006年にバロンドールを獲得し世界最高のセンターバックの称号を得る以前の貴重な一枚です。
それでは、レプリカユニフォームと一般には流通しない選手用ユニフォームの違いを見ていきましょう。
違いは4つあります。
まず1つ目は、胸スポンサーです。レプリカユニフォームは胸スポンサーのパルマラットの文字が昇華プリントであるのに対して、選手用ユニフォームは凹凸のある発泡フェルト素材です。
強度でいえば劣化しない昇華プリントが嬉しいというコレクターも多いと思いますが、選手用コレクターにとっては重厚感が本物らしさの象徴ともいえた時代なので注視するポイントとなります。
2つ目は、襟の織り方です。言葉で表現するのが難しいのですが、選手用ユニフォームはより細かく編み上げている感じがします。
機械でガーッと編み上げるというよりは、機織り機で丁寧に人の手によって編み上げられた感じが出ていると思いませんか?
実際には機械だと思いますが繊細な作業という観点で見ると違いがありますよね。
3つ目は、肩のラインです。見比べるとラインの太さの違いがおわかりいただけると思います。
ここまで違うのは製造ラインがレプリカと選手用では全く異なるという証でもありますね。
ちなみに、1990年代のセリエAでは袖のレガ・カルチョパッチが縫い付けられているかどうかも判断材料の一つといえます。(パッチが縫い付けられているのが選手用です。)
最後、4つ目は裏地です。ユニフォームをひっくり返すと裏地の色合いが大きく違います。
レプリカユニフォームよりも選手用ユニフォームは染め上げがしっかりしているのか、裏地まで色がはっきりと出ています。
また、レプリカユニフォームは胸スポンサーが昇華プリントなので裏から見てもその陰影がはっきりわかりますが、選手用ユニフォームは発砲フェルトが圧着されているのがわかります。
いかがでしたでしょうか?
細部を見ていくとレプリカユニフォームと選手用ユニフォームの違いがよくわかります。
選手用ユニフォームはその出回っている数の少なさから希少価値が高く、選手用をメインにコレクションするマニアも多くいます。
中には、本当に選手の事を考えているの?この選手用ユニフォーム、というユニフォームが存在します。
着用し辛いインナーが付いていたり、プリント類も耐久性に欠けたり、行き過ぎた軽量化により、強度が失われすぐに破けてしまうユニフォームがあったりと、なかなか興味深いのが選手用の世界です。
今後も定期的に選手用のユニフォームをご紹介していきたいと思います。